『寝るより楽はなかりけり、
浮き世の馬鹿は起きて働く』

 この言葉をご存じでしょうか。夫のおばあちゃんの口癖であったらしいこの言葉を、経済活動に絡めて難しく解説することもできるようなのだけれど、私自身はこれをそのまま自分の気持ちの拠り所として暮らしています。気持ちのことだから、現実の私はやっぱり「馬鹿」の枠の中で生きていく他なく、ぐうぐうと寝ているだけというわけにはいかないのが悲しいところなのだけれど。

 私は小さいころから、大人になったらどんな暮らしをするのかなんて、これっぽっちも想像できず、自分自身の「夢」なんていうたいそうなものは全く描くことのできなかった想像力のない人間なのだけれど、寝ている間に見ている「夢」ばかりは、何故だかとにかく楽しいものばかり‼ 大人になってさえも、夢を見ることで人生二倍生きてるってことだから、寝るのが大好きと言ってはばかりません。夢を見ないにしても、小さな睡眠の、ふっと意識のなくなる瞬間とか、寝ている間に「自分は寝てるんだ」と実感する感覚とか…、そういうものも幸せが運ばれてくる感じで好きなのです。
 「寝る時間を削ればあなたはこんなにも活動できる」と、一日の活動時間を緻密に計算し、人々を奮い立たせている人もいるようだけど、どうなんでしょう、なんだかあまり理解できない考え方です。

 こんなふうに「寝ること」に対して並々ならぬ気持ちを傾けているわけだから、楽しい夢を見るためにも、いつも幸せな気持ちで眠りにつきたいと思っているわたし。
 そこで。Happyの心強い助っ人としてお菓子の登場です。寝る前に、ホッと一息ついてなんとなく無駄っぽい時間の使い方をする。そしてそのお供にはお気に入りのおやつと他のちょっとしたなにか。胃の働きとか、カロリーとか、そんなことを気にしていては、楽しい夢を期待することはできません。無駄とかちょっと身体に悪いとか、もしかするとそんなことも、楽しい時間になるための、ひとさじのスパイスになっているのかもしれません。

 あら。お菓子について書こうと思っていたのに、ついつい大好きな「オネンネ」のことばかり。次はちゃんとお菓子についてお伝えできればいいな。

 東京女子大学日本文学科卒業、夜中のお菓子研究家